KOBELCOグループでは、社会とつながるさまざまな活動に取り組んでいます。
「2025大阪・関西万博 未来の都市パビリオン」で、みんなに「いいね!」と言ってもらえたKOBELCOの展示。今回は展示をつくったメンバーのひとり、株式会社神戸製鋼所 高砂製作所 総務室の池田陽平さんにインタビュー。2025大阪・関西万博から1年がたった今だからこそ話せる秘話や終了後の展示物移設について。さらに、プロジェクトを進める裏側にあった熱い想いを聞きました。
ボールに夢中だった子どもがくれた最高の答え
Q. KOBELCOプレイスは、どんな思いで作られた展示だったのでしょうか?
池田:展示全体のコンセプトは「“未来の豊かさ”を創造する力」です。変化し、つながり、かけ合わせて進化しながら社会を支え続けるものづくりを、テーマの異なる3つのゾーンで表現しています。これらを巡ることで、ものづくりの未来・可能性を実感できる展示を目指しました。いちばん大切にしたのは、言葉ではなく感覚で伝えるということ。特に子どもたちに、ものづくりのおもしろさにふれて「こんな未来が来るんだ」とワクワクし、希望を持って未来にチャレンジしてほしい——そういう思いを込めました。

Q.3つのゾーンそれぞれの見どころを教えてください。
池田:いちばん手前の展示となる「象徴ゾーン」には、直径2mの球体LEDビジョンを置き、グループ会社のTC神鋼不動産が毎年開催している「未来のまち 夢のわが家 こども絵画コンテスト」の作品をモチーフにデザインした未来の都市を映し出しました。その後ろの壁には、からだの動きで光の粒を自由にあやつることができる展示もあり、大人も子どももみんなに楽しんでもらえていたようです。

右側にある「リアルゾーン」では、ボールコースターと壁に映し出した映像を組み合わせ、KOBELCOのものづくり・まちづくりの世界を表現しました。今回の万博ではデジタル技術を使った展示がとても多かったのですが、「リアル」な機械じかけのおもしろさを子どもたちに見せることを目指しました。いすを持ち込んで1時間近く夢中でボールを追っている女の子を見たときは、とてもうれしかったですね。

「ダイナミックゾーン」では、高さ約5メートルの大きなLEDビジョンに、少年がドローンで工場を探検し、また夢の中で未来の都市をめぐるストーリー映像が流れます。映像の中に入りこんだような気持ちで、ものづくりの現在と未来をからだいっぱいで感じられる空間です。

14人の想いからたどりついた、ひとつのかたち
Q. コンセプトが生まれるまでの道のりを教えてもらえますか?
池田:万博がはじまる2年前に、KOBELCOのさまざまな分野ではたらく人たちが集まって、14名の「アイデアチーム」を作りました。普段はいっしょに仕事をすることのない人たちが月に1回集まって、自由にアイデアを出しあいました。はじめは「どんなアイデアでもOK」というルールにしたので、建設現場の溶接から発生する火花を美しいイルミネーションにするアイデアや、製鉄所の高炉にジェットコースターを取りつけるというびっくりするような発想まで(笑)、本当にいろんな意見が飛び出しました。今となっては楽しい思い出しか残っていないですね。

そのなかで、若いメンバーの一人が「未来に向かって変えていくもの、変えずに大切にしていくもの」という言葉を出してくれたのです。これがチームみんなの考え方になって、アイデアが一気にまとまっていきました。「もの」の作り方は時代とともに変わっていく。でも「素材や機械」など「もの」の本質は変わらず社会をささえ続ける —— その両方を伝えることが、KOBELCOの展示の大事なポイントです。
リアルな意見がほしいときは、KOBELCOのことをよく知るベテラン社員にも話を聞きに行きました。若い人の発想とベテランの人たちの知恵を合わせることで、展示のイメージが少しずつかたちになっていったと思います。

見えない技術を、体験に変える工夫
Q. KOBELCOの事業は幅広く、技術は目に見えにくいというむずかしさがあるのでは?
池田:そうですね。自動車や船などの輸送機、それに建築物などみなさんの身の回りに使われている素材、それらをつなぐ溶接材料、工場や建設現場で動きつづけている機械など、一般のみなさんからはKOBELCOの製品や技術が役に立っている、社会を支えていることがわかりづらいです。それをどうわかりやすく、おもしろく伝えるか —— それがいちばんの問題でした。またすべての事業をバランスよく入れこむこと。どれか1つでも欠けたらKOBELCOではなくなるので、表現を考え続けた部分です。最終的には、それぞれの技術や製品をばらばらに紹介するのではなく、環境にやさしいクリーンなエネルギーと素材を作り出し、それらを使ってまちづくりをしていく流れのなかに、うまく入れこむことができました。

社員の家族に届いたものづくりの魅力——KOBELCOの誇り
Q. 会期中の来場者の様子はいかがでしたか?
池田:毎日、国内外のたくさんの方々に来場いただき、すごい盛り上がりでしたね。小学校の校外学習での来場も毎日いくつもあり、KOBELCOのお客様も頻繁に案内しました。球体LEDビジョンはいちばん目立つ場所に置きましたので、動画撮影や記念撮影する方でいっぱい。ボールコースターでは厚い人垣ができ、移動がむずかしいくらいでした。それでも「これぞ万博やね」「KOBELCOがいちばん良かった」のようなコメントをいただき、準備のたいへんさが全部ふきとぶくらいうれしかったです。

Q.社員の皆さんの反応はどうでしたか?
池田:社員へのアンケートには、こんな声が寄せられました。

「家族にKOBELCOのいろいろな魅力を見てもらえてよかった。『お父さんの会社、すごいなぁ!』と言ってもらえました」
「自分のはたらく会社がこんな立派な展示をしていることを家族といっしょに見ることができ、とても誇りに思います。思っていたよりも、ずっと感動しました」
「きれいな映像で会社の製品や社会への関わりが表現されており、子どもにも自慢できました」
こんなに多くの社員から「誇らしい」という言葉が聞けるとは思っていませんでした。ものづくりの仕事って、なかなか家族に伝えるのがむずかしいですよね。それが万博を通じて届いたことが、本当にうれしかったです。
ある社員は、来場した娘さんから「パパのお仕事って、遊びなの?」と言われたそうです(笑)。最初はびっくりしたそうですが、それだけ楽しそうに見えたということですよね。子どもたちに見せたかった姿が、ちゃんと伝わったのではないかと思います。

万博後も続く、子どもたちへの種まき
Q. 万博が終わった今、展示はどうなっているのですか?
池田:展示物は4つに分けて、神戸市内の4か所に移設し、うち3か所は一般の皆さまにも見ていただくことができます。
万博は会期が終われば幕を閉じますが、そこで生まれた驚きや発見、ものづくりへの興味は、未来へつないでいくことができます。子どもたちが目を輝かせてKOBELCOの展示を見ていた姿は、私たちにとってまさに「未来へのバトン」でした。
だからこそ、展示を万博会場だけで終わらせず、神戸のまちの中に残していくことに意味があると考えています。子どもたちが、ふとしたきっかけでものづくり楽しさにふれ、「これってどうなっているんだろう」「こんな未来をつくってみたい」と感じる。その小さな好奇心が、いつか未来の社会を支える力になるかもしれません。

ボールコースターは「バンドー神戸青少年科学館」(神戸市中央区)へ

球体LEDビジョンは「国際健康開発センター(IHD)ビル」(神戸市中央区)へ

インタラクティブコンテンツは「灘浜サイエンススクエア」(神戸市灘区)へそれぞれ移設しました。
さらにそれらの展示をめぐる「EXPOレガシーひょうごスタンプラリー」も、2026年3月末からスタートしています。またオンラインでも、KOBELCOの展示をバーチャル空間に再現したレガシーサイトを神戸製鋼のホームページでお楽しみいただけます。まるで万博にいるような感覚で、KOBELCOの展示を体験できます。ぜひチェックしてみてください。


池田さんの話から伝わってきたのは、プロジェクトへのまっすぐな向き合い方と、社員や子どもたちへの深い思いでした。万博が終わった今も、展示物は形を変えて神戸のまちに根を張り続けています。EXPOレガシーひょうごスタンプラリーやKOBELCOプレイス レガシーサイトをきっかけに、ぜひ移設先に足を運んでみてください。
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