2024年1月1日に起きた能登半島地震。
大きな地震によって、能登地域では道路や住宅、港など、さまざまな場所で大きな被害が発生しました。現在も、まちを元の姿に戻すための復旧工事が続けられています。


輪島港で何が起きた?
石川県の輪島港でも、地震の影響で海底が盛り上がり、船が港に入りにくい状態に…。
そこで、船がまた港を利用できるようにするため、海底にたまった土を掘り、船が通りやすくする工事が行われています。
実はその現場で、神戸製鋼の加古川製鉄所からやってきた、あるヒーローが活躍しているんです。
輪島港を救うヒーローの正体とは?
ヒーローの名前は「製鋼スラグ」といいます。 なんだか聞きなれない名前だと思いますが、実は鉄をつくるときに、いっしょに生まれてくる兄弟みたいな素材です。

鉄づくりでは、鉄といっしょに「鉄鋼スラグ」と呼ばれるものが生まれます。KOBELCOでは、この鉄鋼スラグをさまざまな場所で役立てています。

鉄鋼スラグにはいくつか種類がありますが、今回活躍しているのは「製鋼スラグ」です。鉄を1トンつくると約400kgの製鋼スラグが生まれます。
製鋼スラグは、セメントや道路、地盤を強くする工事など、さまざまな場面で活躍しています。
天然の石や砂などの使用を減らし、限りある資源を有効に使うことにつながるなど、“地球にやさしいヒーロー”なんです!
ふかふか君がカチコチ君に変身!
船が通れる深さを確保するためには、海底にたまった土を掘り出す必要があります。この作業を「浚渫」といい、掘り出された土を「浚渫土」と呼びます。
実は、この浚渫土は捨てられるわけではありません。港の埋め立てや防波堤づくりなどに再利用されることがあり、港の復旧や整備にも役立てられています。
ところが、海底から掘り出した浚渫土は、水をたくさん含んでいるため、とてもやわらかく、ふかふかの状態。このままでは工事用の材料として利用しにくいのです。そこで使われるのが、製鋼スラグを原料とするカルシア改質材「カルシア君」です。
水をたくさん含んだ「ふかふか君(浚渫土)」に、「カルシア君」をまぜると、「カチコチ君(改質された土)」に生まれ変わるのです!


このように、浚渫土にカルシア改質材を混ぜると、土の中の水分がちょうどよい状態になります。さらに、カルシア改質材の成分が土と結びつくことで、やわらかい土がしっかりまとまり、工事で使いやすい材料へと生まれ変わるのです。
専用の船で材料を混ぜる
輪島港では、「オーシャン2号」という専用の船を使って、浚渫土とカルシア改質材を混ぜています。

船の上では、浚渫土とカルシア改質材を決められた高さから落とし、その勢いを利用して混ぜます。材料を2メートル以上の高さから3回繰り返して落とすことで、2つの材料をしっかり混ぜていきます。
港と海を守る
カルシア改質材は、船が港を利用できるようにする工事に役立っています。さらに、海の中に海藻が育ちやすい環境をつくることもできます。海藻が増えると、魚や貝などの生き物も集まります。輪島港の復旧だけでなく、豊かな海を取り戻すことにもつながっているのです。
現場を支える人たちの声
加古川製鉄所からは、10トントラック2300台分のカルシア改質材が、輪島港へ届けられています。そんな港の復旧を支えてくれている、KOBELCOの担当者さんたちにも思いを聞きました。
加古川製鉄所 資源循環/豊桑さん
カルシア君をつくるとき、天候の影響を受けやすい水分管理に苦労しました。特に梅雨の時期は、雨の降る量に注意して「今日出荷しても大丈夫かな?」と、毎日天気とにらめっこしていました。工場の仲間とも力を合わせて、輪島の復興に少しでも役に立てるよう、安全にカルシア君を送り届けることに取り組みました。
資源化推進部/井上さん・牧さん
カルシア君たちを出荷するために、私たちは長い間がんばって取り組んできました。そして、多くの人たちの協力のおかげで、ついに送り出すことができました。自分たちがつくったカルシア君たちが、被災地の役に立っていることを、心からうれしく思っています。

街と海を守るヒーローは、みんなのすぐそばに!
鉄をつくるときに生まれたものが思わぬヒーローとなり、鉄づくりの現場から飛び出して、みんなが暮らすまちや、魚たちが住む豊かな海を支えています。
ものづくりを通して、まちと自然の未来をずっと守っていく。KOBELCOはこれからも、新しい技術と工夫で、もっとすてきな未来をつくっていきます!